2016年01月30日

スープについて

 うちの店はスープにはちょっとこだわりがあります。
 昨年末の八ヶ岳デイズの取材の後に、撮影用の料理が私たちだけでは食べきれないのでカメラマンさんにお願いして一緒に召し上がっていただいている時、たまたまそのスープに対するこだわりのことが話題になりました。
 
 私がスープについて話していると、カメラマンさんが「その話、取材の時にされましたか?」というので、聞かれていないから話していないと言いましたら、「それは改めてちゃんと聞いておかなければ。ライターさんに伝えておきます。」とおっしゃって、一度しまったカメラを取り出して、スープの写真を撮っていかれました。
 
 私のスープへのこだわりというのは、味ということもありますが、それよりも野菜の滋味、素材の滋味を引き出せるだけ引き出したいというものです。
 
 スープというものは、飲み物というより食べ物であるという考え方で、スープだけでも食事になるようなもの、それだけで人を温め、満たし、元気になり、支えられるものであるべきだという考え方です。
 人は生まれて最初にスープを口にし、そして死に至る最後の食事としてスープを口にする、最後に食することができる食べ物であろう。スープというものは、決してただの付け合わせのようなものではなく、命を支えるものであるべきだという考え方です。そのためにも素材の野菜は完全無農薬でなければならないというのが、もともとの私が無農薬にこだわる大きな理由でもある訳です。

 私が初めてスープと向かい合うことになったきっかけは、母の病気でした。
 母が病気で倒れた時、突然父が丸鶏を買ってきてたっぷりの野菜と共にスープを作り始めたのです。普段料理など滅多にしない父が突然スープを作り出したもので本当に驚きました。父は母のために一生懸命スープを作ったんですね。それが私が最初に出会った「病人を支えるスープ」でした。
 
 それから、私にとってスープは病人を支えるものとして重要なものとなりました。
パートナーが胃潰瘍で入院した時は、毎日スープを作り病院に届けていました。
 正直病院のおもゆばかりの食事ではとても人の体を支えられないように思えたからです。
大量の出血で血液が通常の半分近くまでなくなってしまった体にとって、食事というのも、食べ物というものは、その血となり、肉となり、皮膚となり、その体そのものを作るものであることを痛感しました。

 ずっと以前に、辰巳芳子さんの「あなたのために いのちを支えるスープ」という本と出合った時、辰巳芳子さんが私と同じ考え方をされていて、そこに書かれている言葉のひとつひとつが心に染みて、深く共感し、感銘を受け、そして辰巳さんの素材や料理に向かわれる気持やその言葉に感動さえ覚えました。

  辰巳さんほどのこだわりは持ててはいませんが、私なりに精一杯の気持で常にスープと向かい合っているつもりです。
 辰巳芳子さんの「あなたのために いのちを支えるスープ」は、私が間違って手を抜いたりいい加減なことをしないよう、自分を律するものとして、常に私の傍らに置かれています。

 スープから始まったものとして、食事は、食べ物は、すべて人の命を支えるものであるから、当然安全なものでなければなりません。
 それが「八ヶ岳の風のあるべき姿」であると私は考えています。


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posted by ねこ at 23:11| Comment(0) | スープ